上腕二頭筋の起始停止と支配神経!長頭と短頭の特徴や髄節も

上腕の筋の屈筋群に分類される上腕二頭筋は
肘関節を屈曲させる主動作筋です。
力こぶを作る筋なので、すでに一般にも
浸透している名称になっています。

上腕二頭筋は、文字通り長頭と短頭の二つの筋頭
からなります。

スポーツ分野では、ダンベルを使った
筋力強化の方法や、筋力強化による
オーバーユースで生じる上腕二頭筋長頭腱炎の
治療なども注目されていています。

  • 上腕の筋の一覧表
  • 上腕二頭筋の起始
  • 上腕二頭筋の停止
  • 上腕二頭筋の支配神経・髄節
  • 上腕二頭筋長頭腱炎の鑑別テスト

などについて書いています。

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上腕の筋の一覧表

上腕の筋の屈筋群は、上腕二頭筋、烏口腕筋、
上腕筋からなり、
上腕の筋の伸筋群は、上腕三頭筋と肘筋からなります。

上腕の筋の分類 筋の名称 英語名
屈筋群 上腕二頭筋 biceps brachii
烏口腕筋 coracobrachialis
上腕筋 brachialis
伸筋群 上腕三頭筋 triceps brachii
肘筋 anconeus

上腕二頭筋の概要

++

上腕の前面で表層にある二頭を持つ筋です。

二頭は、長頭と短頭からなりますが、
この二頭は三角筋の停止の高さで合わさって
紡錘形をした一つの筋腹となって停止部へ向かいます。

三角筋の停止の高さとは、三角筋が上腕骨に
停止する部位(三角筋粗面)の付近のことを意味します。

上腕二頭筋の起始

長頭の起始

  • 肩甲骨の関節上結節(かんせつじょうけっせつ)
  • 肩甲骨の関節唇(かんせつしん)

<走行>

棘上筋と肩甲下筋の間(腱板疎部)を
補強するようにして通り、上腕骨の
結節間溝を結節間滑液鞘に包まれて停止部に向かった進む。

短頭の起始

  • 肩甲骨の烏口突起(うこうとっき)

<走行>

肩甲骨の烏口突起からは、共同腱として
烏口腕筋とともに起こります。

言い換えると、烏口腕筋と上腕二頭筋の
短頭は烏口突起から一緒に起こることになります。

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上腕二頭筋の停止

  • 橈骨粗面(橈骨)
  • 前腕筋膜の上内側部の放散

起始は、長頭と短頭の二頭に分かれていますが
上腕骨の三角筋粗面付近の高さで一つに
合わさって紡錘状の筋となり、最終的には
強力な腱となって橈骨の近位部にある橈骨粗面につきます。

一部は、薄い面状の上腕二頭筋腱膜となり、
前腕筋膜の上内側に放散して停止します。

上腕二頭筋の作用

共通の作用としては、肘関節の屈曲と
前腕の回外作用です。

長頭の作用

  • 肘関節の屈曲
  • 前腕の回外
  • 肩関節の外転(、屈曲、外旋)
  • 上腕骨頭の上方移動を抑える
    これは、長頭が上腕骨の結節間溝部を通ることから生じる作用です。

短頭の作用

  • 肘関節の屈曲
  • 前腕の回外
  • 肩関節の屈曲,内転,内旋
  • 肩関節の下方脱臼防止

上腕二頭筋の支配神経・髄節

支配神経

筋皮神経

ちなみに、筋皮神経支配の筋は上腕二頭筋、
烏口腕筋、上腕筋の一部です。

髄節

C5,6

上腕二頭筋長頭腱炎の鑑別テスト

Yergason test(ヤーガソンテスト)

肘関節を90度屈曲させ、前腕回内位にして
回外方向への抵抗を加えます。

そのときの、上腕二頭筋長頭が通る
結節間溝部を触診した状態で変化を観察します。

結節間溝部の疼痛が生じると陽性です。

Speed test(スピードテスト)

前腕を回外させた状態(結節間溝部が上を向いた状態)で肩関節を90度屈曲させます。

その状態で前腕部に上から抵抗を加えます。

または、

90度の位置まで肩関節を屈曲させるときに
前腕に抵抗を加えてもOK。

結節間溝部の疼痛が生じれば陽性です。

 

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