上肢帯の筋の名称（種類）は？作用や支配神経（起始停止）のまとめ

上肢帯とは、肩甲骨と鎖骨からなり、
これらの骨から起始して上腕骨に
付着する筋が上肢帯の筋です。

支配神経は、すべて腕神経叢からの
枝から支配を受けます。

上肢帯の筋の支配神経と髄節

上肢帯の筋は６つの筋からなります。

１．三角筋 deltoid

表層の厚い筋で肩を三角形に被い、
丸みをつくります。
中部線維のみ羽状を呈し、
僧帽筋の停止部の外側に起始します。

髄節は、C５，６で腋窩神経支配の筋です。

ちなみに腋窩神経支配の筋は、
この三角筋と小円筋のみです。

起始

停止

肩関節を被って大結節を越え
上腕骨の中央外側にあるＶ字形の
三角筋粗面へつきます。

作用

前部、中部、後部の線維ごとに
作用を分けて考える必要があります。

三角筋全体として作用する場合は、
肩関節の外転が複合作用として生じます。

２．小円筋 teres minor

棘下筋の下縁を並走します。

髄節は、C５，６で腋窩神経支配の筋です。

起始

・肩甲骨外側縁の上部2/3
（肩甲回旋動脈が間を通る）

・棘下筋膜

停止

・大結節（の後縁下部）に腱板
となって付着する。

・肩関節包

作用

・肩関節の外旋、内転
・上腕骨頭の安定化
・肩関節包を引く

３．棘上筋 supraspinatus

僧帽筋と三角筋に被われる筋です。
起始部の棘上窩から外側に向かい
肩峰の下を通って肩関節包に癒着します。

髄節は、C4,5,6で肩甲上神経支配の筋です。

起始

・肩甲骨の棘上窩

・棘上筋膜

停止

・上腕骨の大結節
（腱板となって付着する）

作用

・肩関節の外転，外旋，内旋
肩関節の外旋と内旋については
上腕骨の肢位によるものです。

・上腕骨頭の安定化

▲損傷するとDrop armテストが
陽性となります。

４．棘下筋 infraspinatus

停止部では棘上筋腱線維に混入して
上腕骨の大結節上部へも付着します。

髄節は、C５，６で肩甲上神経支配です。

起始

・大部分（下部線維）は肩甲骨の棘下窩へ

・一部（上部線維）は肩甲棘の内側下縁

・棘下筋膜

停止

肩関節包後面に癒着して
・上腕骨の大結節（後縁上部，上部）へ
付着

作用

・肩関節の外旋
・外転（上部線維）
・水平外転（下部線維）
・上腕骨頭の安定化

５．肩甲下筋 subscapularis

烏口腕筋および上腕二頭筋（短頭）の
後方を通ります。
筋内腱を持つ羽状筋です。

前鋸筋後方、大円筋の上前面を走り
肩関節包と癒着する。

腱板となって上腕骨の小結節へ付着します。
髄節は、C5,6,7です。

起始

・肩甲骨の肋骨面（肩甲下窩）
・肩甲下筋膜

停止

・上腕骨の小結節
・小結節稜の上端

作用

・肩関節の内旋
・上腕骨頭の安定化
・外転（上部線維），内転

▲損傷するとLift off テスト，
Belly pressテストが陽性となります。

Lift off テスト

肩を内旋して手背を腰部にあて
随意的にその手を腰部から離させるテストです。

肩甲下筋の機能不全や腱の断裂では
手背を腰部から離せないため陽性となる．

６．大円筋 teres major

小円筋の下方にある 筋で時に
欠けることもあります。
上腕三頭筋長頭の内側を通って
広背筋とともに腋窩から上腕骨の前方へ
向かいます。

起始

・肩甲骨下角
・棘下筋筋膜下部

停止

・上腕骨の小結節稜へ

作用

・肩関節の内旋，内転，伸展

回旋筋腱板 rotator cuff

棘上筋，棘下筋，小円筋，肩甲下筋の4筋は，
肩のインナーマッスルと呼ばれています。

4筋が癒合して腱板となって上腕骨へ
付着します。

作用・役割り

肩関節を前方，上方，後方から囲んで
関節窩の深さを補い，上腕骨頭の安定性を
高め，運動時には上腕骨頭を関節窩の
最適な位置に保つ役割を果たします。

これらの筋に機能不全があると、
肩甲上腕リズムScapulohumeral rhythmが
崩れ肩関節の挙上障害や痛みを発生
させる原因の一つとなります。

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