下肢帯の筋<1>内寛骨筋とは?作用や支配神経(起始停止)のまとめ

下肢帯pelvic girdleは、寛骨(かんこつ)のことです。

下肢帯の筋は、骨盤から起こり
大腿骨に付く筋のことで、寛骨筋または
骨盤筋とも言います。

下肢帯の筋は、内寛骨筋と外寛骨筋に
分けられ、さらに内寛骨筋は屈筋群、
外寛骨筋は殿筋群と回旋筋群に分類されます。

ココでは、下肢帯の筋で
内寛骨筋(股関節の屈筋群)について
まとめています。

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下肢帯の筋の分類

下肢帯の筋
内寛骨筋 小腰筋
大腰筋
腸骨筋
殿筋群 大殿筋
中殿筋
小殿筋
大腿筋膜張筋
回旋筋群 梨状筋
上双子筋
内閉鎖筋
下双子筋
大腿方形筋
外閉鎖筋

殿筋群と回旋筋群は、まとめて外寛骨筋
とも言われます。

下肢帯の筋<1>内寛骨筋について

以下の3つの筋からなりますが、
小腰筋、大腰筋、腸骨筋をまとめて
腸腰筋(iliopsoas)と呼びます。

腸腰筋は、股関節の主な屈筋です。
大腰筋と腸骨筋の筋腹は筋裂孔を通り、
大腿骨頭を前面から被って股関節を
安定させ大腿骨の小転子に付きます。

筋の名称 髄節 支配神経
小腰筋
psoas minor
L1,2 腰神経叢
大腰筋
psoas major
L1,2,3,4
腸骨筋
iliacus
  L2,3,4 大腿神経

▲この筋が、短縮すると骨盤の前傾や
股関節の屈曲拘縮の原因となり、
Thomasテストが陽性となります。

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1.小腰筋 psoas minor

細い筋であり、40~50%の人で
欠けると言われています。

腰神経叢支配で、髄節はL1,2です。

起始

・T12、L1の椎体外側
・T12、L1の椎間板外側

停止

・腸骨筋膜に放散
・腸恥隆起

作用

体幹屈曲の補助

大腿骨には付いていないため
股関節への作用はありません。

2.大腰筋 psoas major

浅頭と深頭の2つの起始部から
なります。
この二頭の間に腰神経叢があります。

起始

浅頭 ・T12~L4の椎体外側
・T12~L4の椎間板外側
深頭 ・全ての肋骨突起
・第12肋骨

 

停止

大腿骨の小転子

 

作用

・股関節の屈曲,外旋
・体幹の側屈
片側の大腰筋のリバースアクション
として生じます。

例えば、右側の大腰筋のは
体幹を右へ側屈させます。
また、大腿骨の小転子を
引き上げることで
股関節の外旋作用が生じます。

・体幹の屈曲
両側の大腰筋のリバースアクション
として生じます。

両側の大腰筋が働くと体幹を
屈曲させる方向へ力が働きます。
もちろん、股関節を屈曲
させる方向へも。

・腰椎の安定
腰椎の椎体および椎間板に付着
しているために腰椎の安定性へ
関与します。

3.腸骨筋 iliacus

大腿神経支配で、髄節はL2,3,4です。

大腰筋とともに股関節屈曲の
主動作筋になります。

起始

・腸骨陵の内唇
・腸骨窩(上2/3)
・上前腸骨棘(ASIS)の内側
・下前腸骨棘(AIIS)の内側とその下方
・仙腸靱帯と腸腰靱帯の前方
・股関節関節包の上部

停止

大腿骨の小転子

 

作用

・股関節の屈曲、外旋

・骨盤の前傾
停止部の大腿骨の小転子部が固定
された場合は、骨盤部が前方に
引かれるために骨盤前傾作用が生じます。

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